「キカイ」の子
翌日の午前、冬彦は、東林大学病院の前に制服姿で立っていた。






彼は小さい頃から、ここにいる天野 祐治、という医者にお世話になっていた。






しかし、冬彦の体にどこか悪い所が見つかったことは、一度もなかった。




本当に単なる検診なのだが、冬彦はだいたい二月に一回は、この病院に来ていた。







冬彦が、病院の敷地に入っていくと、向こうから白衣の男が歩いてきた。








「おや?高椿君じゃないか。今日はどうしたんだい?」




「おはようございます。宮瀬先生。」



冬彦は、その白衣の男に頭を下げながら、挨拶した。




その白衣の男は、宮瀬 健一。






透の父親だった。
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