「キカイ」の子
冬彦が、天野の部屋を出て、病院のロビーまで来ると、そこにある一つのソファーに、見知った人が座っているのに気づいた。









夏美だった。








遠かったし、後ろ姿だけだったが、夏美だと、冬彦にはすぐに分かった。



冬彦は、夏美の方へ歩きだし、声の届く範囲まで来た。





その時、夏美が振り返り、そして冬彦と目があった。








「……あれ…?…高椿君?なんでここにいるの?」






夏美は、びっくりしたようで、目を開いたまま、冬彦に話し掛けた。




冬彦は立ったまま、その問いに答えた。





「定期検診なんだ。」



それを聞いた夏美は、驚きから心配へと表情を変え、冬彦に訊いた。



「…定期…検診?高椿君…どっか悪いの?」
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