「キカイ」の子
「いや、単なる検診だよ。どこにも異常はないって。」


「そう…」



冬彦がそう答えると、夏美は安心したようだ。





そして、しばらく会話が途切れ、次は冬彦が尋ねた。






「鍬原さんは?」


「えっ?」



考え事をしていたのだろうか、夏美は冬彦の質問を聞き損ねたようだ。








冬彦が繰り返す。








「鍬原さんはどうしてここに?」


「あたしは、ちょっと体の具合が悪くって、たぶん風邪だと思うんだけどね~」

「そうなんだ。大丈夫なの?」


「うん!平気平気!この通り、元気だよ!」






そう言ってソファーから、ぴょんと飛んで、立ち上がった夏美は元気そうな素振りを見せた。







彼女の白いワンピースがひらひらと揺れた。








普段見ることのない、彼女の私服姿に、冬彦は戸惑いに似た感覚を覚えた。
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