「キカイ」の子

冬彦は振り返って、肩に乗る手の主を確かめた。






「健一さん。」

冬彦を叩いたのは、健一だった。




「どうだった？検診は？」


健一は、冬彦の肩から手を離し、そう尋ねた。




「異常はないそうです。」

「そうか、それは良かった。」





冬彦の答えに満足したのか、健一は穏やかな微笑みを浮かべた。






その後、夏美の方を眺めながら、


「高椿君。彼女とは知り合いなの？」


と、冬彦に話しかけた。




「えぇ。いい友達です。」



冬彦も夏美の方を向き直し、そう答えた。

健一は、その言葉を聞いて、そう、とだけ言った。






「風邪…大丈夫ですかね。」



冬彦は健一に心配そうに話しかけた。


「……風邪？彼女かい？」





急に話を振られたため、反応が遅れてしまった健一が答えた。