「キカイ」の子
「えぇ、彼女がそう言ってました。」

「…そうか。この時期は暑かったり、寒かったり、温度差が激しいからね。君も気をつけるんだよ。」

「はい。」


冬彦がそう答えると、健一はまた微笑んだ。








そうこうしていると、受付の方から夏美が足早に歩いてきた。





「ごめんね。高椿君。……あれ?健一さん?」





受付からやってきた夏美が、冬彦に話し掛けた後、健一に気づいた。





「鍬原さん。風邪の薬、貰ってきた?」



「貰ったよ……ほら。」




冬彦の問いに、夏美はそう答えて、小さなカバンの中から、薬の入った袋を取り出し、軽く揺らした。







しばらく黙って見ていた健一が、夏美に話し掛けた。
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