「キカイ」の子
「風邪だって?高椿君から聞いたよ。」



「え、…えぇ。そうなんです。」





急に話し掛けられて、驚いた夏美が、戸惑いながら答えた。




だが、すぐに自分を取り戻し、冬彦に話し掛けた。







「そうだっ!高椿君!お腹空いてない?あたし、今からお昼なんだけど……一緒に、どうかな?」






最後の方はしどろもどろになりながら、夏美はなんとか喋った。




「え?う~ん……」





冬彦は少しの間考えていた。






聡と郁恵の言葉が頭をよぎったからだ。




「駄目…かな…?」





不安そうに、夏美が冬彦の顔をのぞき込んだ。








「行っておいでよ。」
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