「キカイ」の子
冬彦と夏美の二人は、病院を出て、近くのレストランに入った。






二人は向かい合って座ると、冬彦はすぐに注文を決めたようで、夏美の方を見た。








「……た、高い…」







夏美はメニューで顔を覆って、一人ボソボソと言っていたが、どうやら注文を決めたようだ。








冬彦が、側にあったボタンを押して、店員を呼んだ。








「いらっしゃいませ~ご注文の方、おうかがいします。」







店員がやってきて、二人にそう話し掛けると、








「「ホットケーキ」」





二人は同じタイミングで、一番安いメニューを言った。





店員は少し笑いながら、



「ホットケーキがお二つで、よろしいですか?」


と、尋ねた。





「は、…はい。」






夏美は恥ずかしそうに、そう言った。








「食後にコーヒーを、一つ。」







そんな彼女の向かいで、冬彦は落ち着き払って、そう付け加えていた。
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