「キカイ」の子
「な、な、なんで…?……それって間接キ…」





夏美は真っ赤になって、最後の方は聞き取れないほど小さく言った。






冬彦は、彼女の慌てている様子に戸惑いながら、夏美に話し掛けた。




「いや、なんかコーヒーをジッと見てたから。飲みたいのかなって……」





一瞬、空気が止まる。






落ち着いた夏美が、静寂を破った。






「高椿君ってさ…」


「何?」




いつまでも経っても、夏美がコーヒーを受け取らないので、冬彦はまた飲み始めていた。









「結構………天然?」



「なんのこと?」






冬彦が、わけが分からないという感じで答えた後、夏美は少しだけムッとした。







「……なんかあたし、バカみたい…」




夏美は、一人、そう呟いた。
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