「キカイ」の子
第2章 回り始めた歯車
「フユピコ~……」

朝の登校中、冬彦の隣で、透がやけに不機嫌な声を出した。



「何?」



しかし、冬彦は涼しい顔で答えた。




「……………………………………暑い。」






冬彦は、透を無視して歩いた。




「いやいやいや、この暑さは異常だろ!フユピコは毎年、何でそんなに涼しい顔していられるんだよ。」



透は、早足で冬彦に追いつくと、大げさに言った。





冬彦は、変わらず冷静だ。





「そんなに暑いかな?詰め襟も着なくなったし、半袖になったんだから、それほど暑いとは思わないけど…」




昨日から、中学校へは夏服で通うことになっていたため、冬彦と透は、半袖のシャツを着ていた。





夏服の話を出すと、透は更に不機嫌になった。
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