「キカイ」の子
声の主は夏美だった。


彼女も半袖のシャツを着ていた。







「名前に、夏、を持つ奴に言われたくないね。」



透が嫌みったらしく、夏美に話した。




「そ~んなに夏が嫌なら、昨日と同じように冬服を着てきて、冬気分でも味わったら~」




夏美が、そうニヤニヤしながら返すと、透は少しへこんで黙った。






「あらら、へこんじゃった。まぁ、みんな半袖の中に一人だけ…、フフッ、黒い詰め襟…、ククッ」


夏美は、頭の中で回想しているのだろう、話しながら笑った。






「うわぁぁっ!フユピコ助けてくれ!恥ずかしくて死にそうだっ!」



透は叫びながら、冬彦の後ろに回り込んだ。



「鍬原さん、そこまでにしてあげてよ。透は昨日一日、そのせいでブルーだったんだからさ。」




「ま、高椿君がそう言うなら、止めてあげるか。」



夏美がそう言った後、三人揃って、教室へ向かった。

透はまだ少しブルーだった。
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