「キカイ」の子
「やぁ。鍬原さん。」



冬彦は勉強を止め、夏美を見上げた。






「ねぇねぇ。今度の日曜は空いてる?」







夏美は、楽しそうに訊いた。






彼女とは反対に、冬彦は、冷静に答えた。







「…夏祭りのこと?」


「なぁ~んだ。知ってたの?」





極端にがっかりした夏美が言った。



しかし、数秒で気持ちを切り替えた。



「ま、いっか。……透から聞いたの?」

「うん。今さっきね。」


「そうなんだ。それで?」


「それで…?」



冬彦は、夏美の質問の意図を掴み損ね、聞き返した。




「それで…オーケーしたの?」


「あぁ…うん。とりあえずはね。」


「そうなんだ~」




夏美は、微笑んで、そう言いながら、冬彦とは違う方向を見ていた。
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