「キカイ」の子
冬彦が、再びリビングに行こうとすると、今度は聡が口元を拭きながらやって来た。





「おぉ、冬彦。出かけてくるな。」


「はい。行ってらっしゃい。父さん。」




冬彦のその言葉を背中で受けながら、聡は靴を履き、家を出ていった。




勢い良く開けられた扉の閉まる音が、大さく玄関に響いた。



その音を聞いた後、冬彦は何事もなかったようにリビングへと歩き出した。
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