「キカイ」の子
「きゃっ!」



夏美は音に驚いて躓きそうになった。




「あ、危ない!」






その瞬間、冬彦が夏美の腕を掴んで、何とか彼女が倒れるのを防いだ。







「だ、大丈夫?」




驚いた顔をしている夏美に対して、冬彦が心配そうに言った。




「う、うん。大丈夫だよ、ありがとう。」






夏美は顔を赤くしながら、何とかそう答えた。







冬彦は彼女の手を離し、空を見た。




「…あ。」






彼が手を離した時、夏美が小さい声で言った。






もう一度、二人の上で大きな音が鳴った。





「花火だ…」




空を見上げていた冬彦がそう呟くと、





「うそっ!高椿君、こっち、こっち!よく見える穴場があるの!」



と夏美が叫び、冬彦の手を掴んで走り出した。
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