暴風うさぎ
関係ない、関係ないけどさ…………。
『つーか嫌なら断れば?』
気が付くと俺は宇佐美を追いかけて2組まで来てしまった。他の生徒達はみんな帰っていて教室には俺達二人だけ。
『?』
『だから雑用とか委員会とかさ……。早く帰らなきゃ駄目なんじゃねーの?』
宇佐美とはもう何の関係もない。関わりがあったのは昔の事で随分と距離が離れてしまった。
『クラス委員は行事の時しか集まりないし、雑用も押し付けられてないよ』
『…………』
『………ありがとう、心配してくれて』
こんな喋り方の宇佐美なんて知らない。
こんな……弱い宇佐美なんて俺の知ってる宇佐美じゃない。
『その作り笑顔やめろ。あと成見君って呼ぶのも。気持ち悪いんだよ。なんなんだよ、そんなキャラじゃねーだろ』
イライラが止まらない。俺はずっと宇佐美に言いたい事が言えなくてモヤモヤしてた。
『私は変わったの。………成……タツも変わったでしょ?それと同じ』
確かに俺は変わった。女遊びも覚えて悪知恵も付いて、きっと昔の俺からは想像出来ないくらい変わった。
でも---------------、
『俺は宇佐美みたいに無理はしてねぇーよ』
そう言い残して俺は2組から出ていった。
ずっと、ずっと気に入らない。
別人みたいになろうと、面影がなくなろうと本当はそれでもいいんだ。
宇佐美が笑えてるなら。