暴風うさぎ
『宇佐美は?』
親も大切だけど俺が知りたいのは宇佐美の気持ちだ。また大きな事を引き受けて1人で潰れてしまうんじゃないか、本当はどう思ってるのか聞きたい。
『多分ね、お父さんと一緒に居れるのって今だけだと思うんだ』
暗闇の中で宇佐美と目が合った。
『大人になれば自然に私も離れて行くだろうし、
お金を稼げるようになったらちゃんと私は私の生きたいようにするつもり』
『……』
『だから今はお父さんと一緒にいるって決めたの。一緒にいてあげられる内は私がそうしたいんだ』
宇佐美はとても強い目をしていた。いつか見たあのまっすぐな目だった。
『……だけどタツに何も言わなくてごめん』
本当はめちゃくちゃ怒ってたしイライラしてたし文句も言いたかった。でもそんな顔をされたら何も言えない。
『タツに言うと急に寂しくなる気がしたんだよね』
宇佐美はへへっと笑ったけど、俺の胸はチクンと痛んだ。