暴風うさぎ
俺は話しを反らすように不自然にベラベラ喋った。
『つ、つーかなんで引っ越すのに実行委員なんてやってたんだよ。普通やらないだろ』
『うーん、やる人が居なかったから。でももう次やる人に引き継いだから平気』
『ふ、ふーん……。そういうなんでも引き受ける所変わってねーよな』
『タツだって優しい所変わってないじゃん』
-----------?
『泣き虫で弱いくせに私が大切にしてたウサギのキーホルダー隠された時すごい怒ってくれた。ドッジボールの時も私ばっかり狙われてたら助けてくれたし、お母さんが死んだ時一番に駆けつけてくれたのはタツだった』
『………でも俺は何もしてない』
宇佐美が部活やめて家事をやってる時も、友達と遊べなくなって悩んでた時も、家を飛び出して帰ってこなかった時も俺は何もしてない。
本当になにも……………
『でも見ててくれてたじゃん』
気が付くと宇佐美が俺の隣に移動してきていた。
それは肩が当たるほど近かった。
『何もしなかったんじゃなくて何もしない事がタツの優しさだよ。家出した時も本当は学校の側まで来てたんでしょ?』
『……』
『でも一人で考えたいって私の気持ち分かってたから来なかった。違う?』
『………』
『それで今日は来てくれた。
一人になりたくない私の気持ちに気付いて。
タツは優しいよ、ずっとずっと』