暴風うさぎ
人生でキラキラとした時間、
それはいつかと聞かれれば俺も宇佐美と過ごたあの時間だったと思う。
悔しいけど、泣き虫で弱かった自分なんて本当は消したいけど、
思い出すのは小学校のあの日々ばかり。
『…………忘れさせてあげようか?』
それでも少しずつ大人になる。
時々、いい子でいられない時も、
時々、悪い事をする時もある。
俺は間違いだらけで正しい事なんて分からない。
周りから見たら不純で矛盾だらけの17歳。
でも馬鹿な事でもしないと乗り越えられない夜もある。
『………………うん』
教室の窓からは雷の光が漏れていた。また近くで落ちたのだろうか?宇佐美はもう怖がらない。
俺はそっとキスをした。
それは優しく、まるで壊れやすい飴細工に触るようにゆっくりと宇佐美の頬に触れた。
『泣いてんの?』
右目から流れる一筋の涙がキラリと光った。
『分からない、分からないけどなんか安心して』
『安心?』
『タツの手が暖かいから』
そう言うと俺達の手が重なった。