暴風うさぎ




宇佐美は絶対に人前では泣かないしその姿を見られたくないって言ってた。

でも一人で泣くならせめて俺の前で泣いてほしいと思ってた。

俺だって泣き虫だったから、『もーなに泣いてんの』っていつも涙を拭いてくれた宇佐美みたいに


『なに泣いてんだよ、ばか』


今度は俺が拭いてあげる番。


『ふふ、』

『笑うな』

『背中冷たくない?』

『……………平気。』


ゆっくりと宇佐美を床に寝かせ、また唇を重ねた。




いつかこの時の事を思い出して後悔するかもしれない。


でもいつか……………

あの日々のようにキラキラとした時間に変わるかもしれない。


それはまだ分からない。

子供なのか、大人なのか、それさえも分からない。



『宇佐美』


でも小さい頃みたいにお菓子をもらえれば機嫌が良くなるほど単純じゃないし、

キスをして体を重ねたら愛が見えるとか、そこまで大人になれた訳じゃない。


安易な考え、
馬鹿みたいでガキみたいでとても不純。


それでもこの嵐の音が全てかき消してくれる。



『タツ、ありがとう』


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