暴風うさぎ
『あ、あれ、消しゴム忘れちゃったみたい。成見君持ってる?』
メモっていた女子が慌てた様子で俺に訪ねてきた。
『持ってない。ってか何も持ってきてないし』
手ぶらで来るとか我ながらなめすぎ。
女子は渋々前の席に座る他クラスを頼った。
『ねぇ、消しゴム貸してくれる?』
トントンと肩を叩くと、前に座っている奴はすぐに振り向いた。
『いいよ。どうぞ』
そう言って手渡した可愛らしい消しゴム。
その人物の顔を見て俺はすぐに顔を反らした。
知り合いと言うにはよそよそしくて、友達と言うには大袈裟過ぎる。
-----------そう言えば忘れてた。
クラス実行委員会とか一番面倒な事を率先する奴だったっけ。
俺は昔の記憶を思い出しながら、ゆっくりと顔を戻した。
後ろ姿の黒髪は肩まで伸びていて、姿勢がいい姿は変わってない。
まぁ、もう関係は無関係に等しい。とゆーか、
そうしてくれないと困る。