会いたい、伝えたい、この思い
キッカケ

「遊びに行きたーい!!」

今日は、天気の良い休日。

引っ越しまでまだ2か月あるけど、実際その内休日なんて、20日弱程しかないものだから、友達との約束がない休日は、少しずつ荷造りをしている。

「はぁぁ~、荷造りって大変なんだなぁ」

この20年間、ずっと同じ家で暮らしていた為、荷造りなんて経験になかった。

「考えが甘かった。家具、家電全部買うんだから、一人暮らしなんて何の苦労もなく、始められるものだと思ってたよ」

ぶつぶつ呟きながらも、少しずついる物を箱詰めしていく渚紗。

漫画、ゲーム。

思い出の詰まった写真、手紙、そして...バースデーカード。

このバースデーカードは、中学校の時に貰ったもの。

学校側が『皆のことを知り、仲良くしましょう』ということで、クラスメイト全員で一言ずつ書いたバースデーカードをプレゼントするという企画で貰ったもの。

「懐かしい~。皆いろんな事書いてくれてるなぁ~」

思わず、箱詰めする手を止め、一枚ずつ読んでいく。

「フッ。男子からのは殆ど『おめでとう』しか書いてないし』

笑いながらも、渚紗はそれなりに女子とも、男子とも仲が良かったので、これだけのコメントしかないのは、寂しいなぁと思っていた。

「他に何か書いてくれてる人いないのかなぁ~。。。」

10枚程見た後で、渚紗の手が止まった。
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