言えない秘密~ヤクザが愛する女~
「ちょっと勇人。まる聞こえよ?」
呆れたように母さんが言った時、親父はオレの腕を振り払った。
「とにかく勇人。お前は跡取り息子なんだ。その彼女を好きなら、諦めるんだな。お前が執着すればするほど、危ない目に遭うよ。きっと」
何言ってんだよ、クソ親父!
もう我慢できねえ。
気が付いたら、親父に向かって殴りかかっていたが、見事に受け止められた。
「10年早いよ勇人。オレを殴るには」
そう言いながら、掴んだ手に思い切り力を入れる。
いって~!
骨折る気かよ。
睨み返すしかないオレを親父は鼻で笑うと、母さんと一緒に部屋を出て行った。