言えない秘密~ヤクザが愛する女~
「私ね、今の母親は後妻なの。本当の母親は小さい時に亡くなってて・・・」
「そうなのか?」
実和は頷きながら、涙を拭いた。
「だから、居場所がなくって。元彼と出会えた時は、ようやく運命の人とめぐり会えたと思ったのに・・・」
けっこう、辛い人生だったのかな。実和は。
「その人と引き離されるんなら、正直、誰と一緒になっても同じって思ってたけど・・・」
「けど?」
実和は、真剣な目でオレを見つめた。
「勇人なら、新しい人生を一緒に歩めそうって思ったの。真っ直ぐじゃん。勇人って」
「実和・・・」
その時、実和の顔が近づいて、またオレの唇に重なった。
それなのに、何で今、オレは抵抗していないんだろう・・・。
同情なら、実和に失礼なだけなのに。