図書館>>>異世界
着いた村は、村なのかどうか怪しい場所だった。
別に雰囲気が悪い訳ではない。
ただ、崖に家を作っちゃいました!みたいな感じ。
見た目は大自然でできたマンションみたいな?
岩をくりぬいたのだろう。
キチンと窓やドアが見える。でも、一番上とか、すごい高いのによく登れるよね。
高所恐怖症には過酷な村だ。
そんなどうでもいいことを考えていた時。
団長たちが馬を繋ぎに少し離れたトコに行くと。
「黒い髪だ…」
「本物?」
ヒソヒソ声が聞こえた。
振り返ると、多分同年代くらいの男の子二人が私を凝視してた。
「本物だよー。産まれた時から、髪も眼もこの色。
ねー、何かあんの?」
いきなり話しかけたからだろうか。
ビクッとなった二人は、それでも好奇心が勝るのか、会話はしてくれる。
「だって、この世界に黒は居ないぜ。なぁ?」
「ああ。黒い髪の人間なんて、歴史上に賢者様とその一族しか居なかったって言うしな。
アンタ、賢者様か?」
「誰それ。知らんって。
つーかこの世界に黒い髪っていないの!?」
「居ないな」
「うん。居ない。黒は畏れられる色だから」
「え、怖いの?」
「違う。敬われるべき色」
「うん。王を助ける人の色。だから、王に近い人間しか使えない色だ」
どうりで皆さん、色素が薄いのねー。
全体的にヨーロッパに放り出された気分だわ…