図書館>>>異世界
―――王子の発した『龍神族』と言う単語。
「リュウジンゾク?……待てよ…? 『龍神族』?」
何だっけ…引っ掛かる。
うーんと唸りながら、顔の左側を左手で覆う。これは私の癖なのだ。
何故か左目を隠すように考えると、考えが浮かぶのだ。不思議。
「……、憶えてる。わかった。
『龍を従え、統べるのが龍神族。龍神族とは、龍の王族のこと。龍は一定の年齢になるとヒト型になれる。一般の龍は戦士として強大な力を持つのが特色。
龍神族はそんな戦士たちを先天的に従える能力を持ち、群を抜いて美しいのが特徴』………あっている?」
……なんだろう。
見上げた王子の顔は、ポカンとした顔だった。
突然ぶつぶつ言ったのが悪かったのか?
でもよかったー。途中の村で本読破しといて!
図鑑にのってたんだよね!
「……ヨル。いつ憶えたのだ?
ヨルはまだ、この世界に来て、一日も経っていないだろう」
「数時間あれば十分。それに、途中で立ち寄った村で学校兼図書館に案内してもらって…
文字も、割りと簡単だったし、すぐに覚えれましたよ。
文字さえ覚えれば、後はひたすら知識の詰め込みですよ」
こちらの世界は大陸一つなだけあって、文字が統一されているらしい。
しかも、日本語みたいに片仮名・平仮名・漢字の三種類も無く、どちらかと言えばアルファベット位の文字数の漢字みたいな?
漢文読んでるかんじ?
文字自体が意味を表してくれているから、憶えやすかった。
「ヨルー!遊ぼ?」
「……どうしてそんなに可愛いの暁!」
たまらない。可愛すぎて高まるーっ!
いやホント、マジで可愛いんですって!!!
あまりの可愛さにメロメロな私は、王子がじっと見つめてくる視線に気づかなかった。
「(例え賢者でなくとも構わない。……見つけた。俺の求めていた、そんな者が―――)」
否応なしに、運命の歯車は回り出す―――――