図書館>>>異世界
「んー、一日一棚として、結構時間かかるなあ。
いっそ丸々三日間くらい、ここに籠らせてくれない?」
まどろっこしいのは嫌いなのでアレンにそう提案してみたのだが、何だか化け物でも見たような顔をされた。……失礼な。
「ヨル…なんで文字が読めるんだ?」
「あー、ここに来る前に立ち寄った村で覚えた。んで、全部の本は読破したんだけどねえ、やっぱり蔵書率はこっちハンパないね。
いやー、読み甲斐があるねえ」
「い、一日で覚えたのか!?」
「まさか!」
「だ、だよな…」
「一時間ちょっとくらいかな?」
「……………」
「本が無ければ生きていけないタイプなんで(笑)」
「……本当に読めてんのか?頭に入ってるわけ?」
「あらまあ―――なめないでよね?」
空いている右手で、右のこめかみをぽん、ぽんと叩いた。
「――全て記憶してますから」
小さく笑って左手の本をパタリと閉じた。
「(……つかえる。俺が今までであった中で、一番優秀だヨルは――)」
アレンの胸中いざ知らず。夢中で本を読み漁るヨルは、久々にのびのびとした時間を過ごしていた。