雪割草
 今度はシローの方から話しかけた。

「さっきの男は知り合いか?」

 首を傾げるようにして少女は答えた。

「うーん、知り合いのような……。知り合いじゃないような……。」

「えっ、どっちなんだ?」

 今回はシローが納得出来い様子だった。

「うるさいねー。

だいたい三十分位前に知り合ったの!

出会い系で!」

 よけい話しが分からなくなってしまった。

「なんだ?その出会い系って……。」

 少女は、この無知な中年男に説明するのは面倒くさいと思ったが、彼が正直に全てを話してくれた分、自分も今までの経緯を打ち明けようと思い、喋り始めた。

「いい!出会い系っていうのはね……。」

 シローはリヤカーのハンドルを握りながら、黙ってそれを聞いていた。

少女は、三カ月前から家出をしているという事だった……。

そして、時々援助交際をしながら、お小遣いを稼いでいるらしい……。

今日はたまたま、男が先にシャワーを浴びにいったので、お金だけを貰って逃げて来たという事だった……。

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