雪割草
第二十二章~焚き火の灯り
 「ねえ、シロー!ここで何かをするの?」

 香奈は不思議そうに訊いた。

「あぁ……。俺は今夜はここで野宿だ。

もう夜も遅いから、君はそろそろ帰りなさい」

 シローはそう言うと、リヤカーの荷台から鍋とペットボトルを取り出し、河原の土手を河川敷へと下りて行った。

香奈はそれを目で追い、

「へえ、なんか面白そう」

 独り言を呟きながら、シローの後を着いて行った。

 河川敷に着くと、シローはすぐに枯れ枝や流木などを拾い集めた。

香奈も一緒になり手伝い始めると、シローは困憊の顔付きで゛やれやれ゛と囁いていた。

 ある程度枯れ枝が集まったところで、マッチを擦り火を着けた。

火の勢いが徐々に増してゆき、今度は鍋にペットボトルの水を入れ火に掛けた。

 焚き火の炎は、二人の冷えた体を芯から暖めていった。

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