雪割草
シローは鍋のお湯が沸き始めたのを確かめると、土手に停めて置いたリヤカーの荷台から、ジャガイモを二個取り出した。
そのまま川の水で泥を洗い流し、沸騰した鍋の中へポチャン、ポチャンと入れ、茹で始めた。
濡れた手を乾かすように火に近づけ、腰を下ろしながら香奈に訊いたみた。
「きみは好きな人はいないのかい?
性格も明るいし、モテるだろうに……。」
炎の中に枯れ枝を足した。
「いたよ……。
三カ月前まではね……。
ちゃんとした彼氏がさ……。
でも、その彼氏はバカな男でさ、よりによってあたしの友達にも手を出したの……。
もちろん、すぐ別れたんだけど。
それで頭にきたついでに、浮気相手の友達もボコボコにしてやった……。
そしたら、そいつが学校にチクりやがってさ……。
結局、親も学校に呼び出されちゃって……。
十日間の謹慎処分。
その夜に母親と大喧嘩して、家を飛び出したってわけ……。」
香奈も枯れ枝を足しながら、焚き火を見つめた。
煙りが目にしみているのか、彼女の瞳が少しづつ潤んできていた。
そのまま川の水で泥を洗い流し、沸騰した鍋の中へポチャン、ポチャンと入れ、茹で始めた。
濡れた手を乾かすように火に近づけ、腰を下ろしながら香奈に訊いたみた。
「きみは好きな人はいないのかい?
性格も明るいし、モテるだろうに……。」
炎の中に枯れ枝を足した。
「いたよ……。
三カ月前まではね……。
ちゃんとした彼氏がさ……。
でも、その彼氏はバカな男でさ、よりによってあたしの友達にも手を出したの……。
もちろん、すぐ別れたんだけど。
それで頭にきたついでに、浮気相手の友達もボコボコにしてやった……。
そしたら、そいつが学校にチクりやがってさ……。
結局、親も学校に呼び出されちゃって……。
十日間の謹慎処分。
その夜に母親と大喧嘩して、家を飛び出したってわけ……。」
香奈も枯れ枝を足しながら、焚き火を見つめた。
煙りが目にしみているのか、彼女の瞳が少しづつ潤んできていた。