雪割草
 暫くすると、四号線の歩道から、゛白河゛の街灯りが見えてきた。

今夜の宿を探しに街の方まで行こうとしたが、途中新幹線の高架橋を見つけると、橋の下で野宿をする事にした。

橋のたもとまでリヤカーを引いてゆき、焚き火を始めると、久しぶりに美枝子との二人だけの時間を過ごした。

゛美枝子……。

やっと、福島まで来たぞ……。

俺達のふるさとは、もう少しだ……。゛

 シローはブルーシートを剥がし、美枝子の顔を撫でていた。

彼女の頬は氷よりも冷たく、閉じた瞳はあの頃のままだった……。

 今夜は満天の星空の下で、美枝子と一緒に眠ることにした……。

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