雪割草
クウン……クウン……。
どこかの野良犬がシローの頬を舐めていた。
頬の生暖かい感触に気付き、シローがくすぐったそうにして目をぼんやり開けると、その野良犬は更にすり寄ってきて、尻尾を小刻みに振り続けた。
「よし、よし……。」
そう言いながら手を伸ばそうとすると、今度は首をすくめ、
クゥーン
後退りをして、逃げて行ってしまった。
シローはバス停の小屋から顔を出し、走り去る野良犬の尻尾の先に目を凝らしながら歩道に立ち上がると、いよいよリヤカーのハンドルを握りしめ、朝焼けに映える四号線を目的地に向かって歩き始めた。
゛郡山゛を過ぎ……。
゛大玉村゛の険しい登り坂を越えると、左手には安達太良山が見えてきた。
山頂には白く雪化粧を施している。
そろそろ、根雪になる日も近いのではないか……。
シローは深くて白い息を吐いた。
ようやく゛二本松゛のバイパスに辿り着いた頃、西の空には茜色の雲が綿帽子のように連なっていた。
四号線から螺旋に伸びる陸橋を上がって行くと、眼下には緩やかに流れる阿武隈川……。
やがて道は二手に別れ、右に曲がれば゛岩代町゛、美枝子のふるさとだ。
そのまま真っ直ぐ進めば゛東和町゛、シローのふるさとだった。
どこかの野良犬がシローの頬を舐めていた。
頬の生暖かい感触に気付き、シローがくすぐったそうにして目をぼんやり開けると、その野良犬は更にすり寄ってきて、尻尾を小刻みに振り続けた。
「よし、よし……。」
そう言いながら手を伸ばそうとすると、今度は首をすくめ、
クゥーン
後退りをして、逃げて行ってしまった。
シローはバス停の小屋から顔を出し、走り去る野良犬の尻尾の先に目を凝らしながら歩道に立ち上がると、いよいよリヤカーのハンドルを握りしめ、朝焼けに映える四号線を目的地に向かって歩き始めた。
゛郡山゛を過ぎ……。
゛大玉村゛の険しい登り坂を越えると、左手には安達太良山が見えてきた。
山頂には白く雪化粧を施している。
そろそろ、根雪になる日も近いのではないか……。
シローは深くて白い息を吐いた。
ようやく゛二本松゛のバイパスに辿り着いた頃、西の空には茜色の雲が綿帽子のように連なっていた。
四号線から螺旋に伸びる陸橋を上がって行くと、眼下には緩やかに流れる阿武隈川……。
やがて道は二手に別れ、右に曲がれば゛岩代町゛、美枝子のふるさとだ。
そのまま真っ直ぐ進めば゛東和町゛、シローのふるさとだった。