雪割草
第八章~決別
 帰り道の途中、シローはガード下で雨宿りをしていた。
気にかかるのは、段ボールの値下げの事ばかりだった。
段ボールの買い取りが、一枚三円から二円になるという事は、単純に考えると収入が今までの三分の二になるという事だった。

今までだって、決して楽な生活ではなかったのに……。

これ以上……。

シローは頭をかかえていた。

 雨が上がり、雲の合間から空が見え始めると、シローは肩を落としつつ、新宿中央公園に向かって歩き出した。

歩道に出来た水たまりが車輪に絡み、益々シローの足取りを重くしていった。


公園に着くと、集会所では皆が集まり、話し合いをしていた。

話題はやはり、段ボールの値下げの事だった……。


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