雪割草
「一体、どうすればいいんだ」

 誰かが独り言のようにボヤいた。

「古川紙業と違う業者に段ボールを運ぶか……。」

 どこからか、そういった声も聞こえてきた。

「この辺だと、段ボールを引き取ってくれる業者は四ッ谷の方まで行かなくちゃならねえぞ。四ッ谷まで行ってたら、半日はかかっちまう」

「じゃあ、どうする?ストライキでもするか?」

 そんな誰かの提案に、ニシヤンが怒鳴った。

「バカヤロー!そんな事したら俺達のその日の食い扶持はどうする?俺達は浮浪者じゃねえんだ!ゴミ箱の残飯なんて漁れるか!」

 皆、一応に黙り込んでしまった。

 時間だけが意味も無く過ぎ去り、誰もがこの公園での生活を諦めかけていた。

 そんな時、それまでただ様子をみていた長老のイタジイが、ようやく口を開いた。

「わしが行って話をつけてこよう」

 一瞬にしてみんながざわついた。

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