雪割草
 最終的にイタジイの一言がみんなの意見を統一した。

「わしは、もうこの歳じゃ……。

ここに居ても最後は野垂れ死んで終わりじゃろう。
一か八か、一か月の間に二万二千円という大金を作ってみるか」

 その言葉は自分自身に言い聞かせるように、小さく呟かれた。

そしてまた、゛二万二千円゛という彼らにとっては途方もない金額を、みんなは心の中で反芻していた。

もうじき寒い冬がやって来るだろう。

その前に……。


みんなの心は、もう既に約束の一か月後に向けられていた。
それまでに二万二千円を作らなければ……。

 結局、新宿中央公園では全員が入居希望という事で区役所の方に連絡を入れた。


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