雪割草
夜も深まり、二人で路面店の居酒屋で段ボールを忙しく拾っていると、閃光のようなヘッドライトを浴びせられ、クラクションを鳴らされた。
車道にはハザードを点けたタクシーが止まっていて、恐らく店の横に着けてお客を降ろしたかったのだろう。
運転手は窓から手を大きく左右に振りながら、「どけろ、どけろ」と口を動かしているのが判った。
シローはあと少しだと思い、急いで段ボールを拾い続けていた。
煮えを切らしたタクシーの運転手は車から降りて来るなり、
「テメーッ!邪魔なんだよ!」
思い切りシローの背中を蹴飛ばしてきた。
けたたましい音と共に、シローは居酒屋の看板にぶつかり、その場にうずくまってしまった。
「シローちゃん!」
美枝子は慌てて駆け寄りシローを抱きかかえた。
タクシーの運転手はといえば、「チッ!」と口を鳴らすと、車に戻って行ってしまった。
居酒屋の店員も物音に気付いて表に出て来たが、店の看板ばかりを気にして、シロー達には全く目もくれようとはしなかった。
通りを行き交う人々も、皆見て見ぬ振りをして通り過ぎてしまった。
車道にはハザードを点けたタクシーが止まっていて、恐らく店の横に着けてお客を降ろしたかったのだろう。
運転手は窓から手を大きく左右に振りながら、「どけろ、どけろ」と口を動かしているのが判った。
シローはあと少しだと思い、急いで段ボールを拾い続けていた。
煮えを切らしたタクシーの運転手は車から降りて来るなり、
「テメーッ!邪魔なんだよ!」
思い切りシローの背中を蹴飛ばしてきた。
けたたましい音と共に、シローは居酒屋の看板にぶつかり、その場にうずくまってしまった。
「シローちゃん!」
美枝子は慌てて駆け寄りシローを抱きかかえた。
タクシーの運転手はといえば、「チッ!」と口を鳴らすと、車に戻って行ってしまった。
居酒屋の店員も物音に気付いて表に出て来たが、店の看板ばかりを気にして、シロー達には全く目もくれようとはしなかった。
通りを行き交う人々も、皆見て見ぬ振りをして通り過ぎてしまった。