雪割草
第四章~夫婦
「ただいま、今帰ったぞ」
シローが自分の段ボールハウスに着いた頃には、太陽は大分高い位置まで移動していた。
入り口の前で靴を脱ぎ揃え、のれんのように垂れ下がったシートを潜り抜け部屋の中へと入っていった。
ビニールシートと段ボールで作られたシローの家は僅か三畳程。
カセットコンロに毛布が一枚、そしてオイルランプが天井からぶら下がっているだけのスペース。
誰もそこに居ない事はすぐに分かった。
「あれ、おかしいな」
小さく独り言を呟きながら、シローはもう一度表に出てみた。
「あら、シローちゃんお帰りなさい」
背後から女性の声が聞こえた。
「あっ、美枝子。どこに行っていたんだ?今捜しに行こうと思って……」
「あら、そう。ちょっと道路向かいの所まで、朝御飯の水を汲みに行ってただけよ。今日はジャガイモを茹でるわ。さっ、中へ入りましょ」
この公園内の水道水は、どれも消毒液の匂いが鼻を突いた。
よって、住人達は十二支社通りの反対側、コンビニエンスストアに常設してある水まき用の水道を使っていた。
ここでの暮らしは、そういった不便さも受け入れながら生活をしていくという事であった。
シローが自分の段ボールハウスに着いた頃には、太陽は大分高い位置まで移動していた。
入り口の前で靴を脱ぎ揃え、のれんのように垂れ下がったシートを潜り抜け部屋の中へと入っていった。
ビニールシートと段ボールで作られたシローの家は僅か三畳程。
カセットコンロに毛布が一枚、そしてオイルランプが天井からぶら下がっているだけのスペース。
誰もそこに居ない事はすぐに分かった。
「あれ、おかしいな」
小さく独り言を呟きながら、シローはもう一度表に出てみた。
「あら、シローちゃんお帰りなさい」
背後から女性の声が聞こえた。
「あっ、美枝子。どこに行っていたんだ?今捜しに行こうと思って……」
「あら、そう。ちょっと道路向かいの所まで、朝御飯の水を汲みに行ってただけよ。今日はジャガイモを茹でるわ。さっ、中へ入りましょ」
この公園内の水道水は、どれも消毒液の匂いが鼻を突いた。
よって、住人達は十二支社通りの反対側、コンビニエンスストアに常設してある水まき用の水道を使っていた。
ここでの暮らしは、そういった不便さも受け入れながら生活をしていくという事であった。