雪割草
 硬直したまま睨み合いが続いていた。

互いに牽制し合っていた。

 静寂を破るように、いきなりチュンサンが屈み込み、

「そんなの、ただの詐欺じゃねえか!」

 地面の砂を掴かんで竹中に投げつけた。

スプレーが散布されたように飛び散った砂が、竹中の上半身全体に貼り付いた。

上着に着いた砂を払い落としながら、さすがに竹中も冷静さを失い、遂に本性を現した。

「お前ら、いい加減気付けよ!いくら俺達が一生懸命、公園の植木や芝生を手入れしてもな!
お前らみたいな者がここに居座ってたら、誰もこの公園には寄り付かなくなっちまうんだよ!

いいか!お前達は社会のゴミ以下なんだよ!

分かってんのか!」

 口元の砂をつばと一緒に吐き捨てた。

「テメーッ!」

 ニシヤンの怒りが頂点に達した。

竹中に向かって殴りかかろうとした。


その時!


「バターン……。」

 喧騒の中、人間が倒れる音が聞こえた。

 
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