雪割草
 何が起こったのか分からず、皆の挙動が一瞬にして止まった。

ニシヤンも握った拳を下げ、後ろを振り返った。

地面を叩き割るような鈍い音を中心に、みんなは円を作り始めた。

「おい!大丈夫か?」

 チュンサンが体を揺すった。

「う……。う……。」

 酷くうなされている様子だった。

 二・三人が跪いて声をかけた。

「おい!しっかりしろ」

「どこか痛むか?」

 心配そうに何人かが体をさすり続けた。

「よし、大丈夫だ。大丈夫だぞ!」

「ほら、気を確かに!」

それでも、一向に良くなる気配はなく、事態はより深刻に加速していった。

介抱をしていたチュンサンが、額に手を当ててみた。

「やばい!すごい熱だ」

 すぐに手を離した。

そして、その体をずっと、膝の上で抱きしめていたシローが叫んだ。

「美枝子!おい、どうしたんだ!美枝子!」
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