雪割草
段ボールハウスの中に入ると、美枝子はすぐにカセットコンロに火を着け、洗ってきたばかりのジャガイモを三個ほど使い古された鍋に入れて茹で始めた。
シローの方は黒い肩掛けカバンの中から今日の稼ぎの二百七十九円を取り出し、部屋の一隅に置いてあったトランプを入れるプラスチックケースの中に全て移した。
「今日は良い稼ぎが出来たよ。二百七十九円だった」
シローはお金を入れたケースを元の場所に戻した。
「ごめんなさいね。私も働く事が出来れば、生活はもっと楽なのに……」
「そんな事ないよ。お前が家に居てくれるお陰で、うちはこの公園では一番きれいな段ボールハウスさ」
部屋中を見渡しながら、シローは言った。
美枝子も一緒に部屋を見渡し、
「何もない家だけどね」
二人は口の端を緩ませ微笑み合った。
そんな他愛もない会話をしていると、いつの間にか鍋のお湯が沸騰して、ジャガイモの皮も少し破れるくらいに茹で上がっていた。
「出来たわよ。食べましょ」
そう言って美枝子は一個と半分づつジャガイモを茶碗に取り分け、少し塩を振りかけてからシローへと手渡した。
シローの方は黒い肩掛けカバンの中から今日の稼ぎの二百七十九円を取り出し、部屋の一隅に置いてあったトランプを入れるプラスチックケースの中に全て移した。
「今日は良い稼ぎが出来たよ。二百七十九円だった」
シローはお金を入れたケースを元の場所に戻した。
「ごめんなさいね。私も働く事が出来れば、生活はもっと楽なのに……」
「そんな事ないよ。お前が家に居てくれるお陰で、うちはこの公園では一番きれいな段ボールハウスさ」
部屋中を見渡しながら、シローは言った。
美枝子も一緒に部屋を見渡し、
「何もない家だけどね」
二人は口の端を緩ませ微笑み合った。
そんな他愛もない会話をしていると、いつの間にか鍋のお湯が沸騰して、ジャガイモの皮も少し破れるくらいに茹で上がっていた。
「出来たわよ。食べましょ」
そう言って美枝子は一個と半分づつジャガイモを茶碗に取り分け、少し塩を振りかけてからシローへと手渡した。