雪割草
 シローは恐る恐る彼等に近付いた。

「あの、すいません……。」

 声が少し強張っていた。

「おいおい、何か変なのが来たぞ」

 最初に気付いた若者が言った。

シローは怯まず、道を尋ねようとした。

「あのー、この辺で野宿出来そうな場所はないですかね?」

 訝しそうに、原付バイクに跨っている男が口を開いた。

「はあ?この寒空に野宿かい、おっさん!

だいたい、そんなリヤカー引っ張りながら、どっか行くのかよ」

 食べかけのカップラーメンをすすっていた。

シローは荷台のブルーシートを見ながら、

「えぇ。福島まで……。」

 そう答えると、

「なにー?ふくしま?

東北の福島かよ!」

 驚いた様子で、ラーメンのスープをこぼしてしまった。

 それを聞いた別の若者は、

「おっさん、どっから来たんだ?

ここから福島なんて、そうとう遠いぞ!

頭おかしいんじゃないか?」

 彼はパンをかじりながら言った。

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