君がいれば・・・①

心配

トーストを食べながら瀬奈はシンに目がいく。



目と目が会うとシンが微笑んでくれる。



瀬奈はシンと体の関係を持たなかった事に戸惑っていた。



わたしが嫌って言ったんだけど……。


本当にこれで良かったのかな……。


もうシンに嫌われちゃったかも。



と、だんだんシンに愛されている実感がなくなる。



屈託なく笑ってくれるけど内心は「早く帰って欲しい」って思われていたらどうしよう……。



「セナ?食欲ない?」



シンは瀬奈の食べる手が止まった事に気付いた。



何か考え込んでいるようだな。



「え?ううん そんなことないよ」



慌ててベーコンを口にする。



まだ洋服は届いていないので瀬奈はバスローブのままだ。



「本当に?」



シンは瀬奈の言葉を信じていない。



「本当だよ」



瀬奈は微笑んだ。



シンは優しい。



顔には出さないけど……わたしのことつまらない女だと思っているかも……。



「シン……あのね……」



「ん?」



コーヒーを飲もうとカップを手にしたまま瀬奈を見た。



「あのね……?」



瀬奈の顔に緊張が見られた。




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