君がいれば・・・①
試着室
「いらっしゃいませ」
黒のキャップを目深にかぶって店の中へ入って来た背の高い男性に、瀬奈(セナ)は声をかけた。
キャップのせいで顔が良く見えない彼は、瀬奈に向ってしーっと言うように一本指を口元に持って行く仕草をして試着室へ入ってしまった。
しーっとされてしまったからには声をかけられず紳士服売り場の店員、瀬奈は試着室の前でうろうろしていた。
「あの~」
いっこうに出てこない彼に瀬奈は声をかけた。
今はお昼休みでこの持ち場には瀬奈しかいないし、平日の昼間の紳士服売り場は超が付く位暇な場所なのだ。
暇すぎて一度、いわゆるデパ地下に移動させて欲しいと言ったくらいだった。
望は叶えられなかったのだが。
「あの~ どうかしたのですかー?」
とか、
「もしもし~?早く出て来てくださいっ」
そう言葉にした途端、試着室のカーテンが開いて手が伸びたと思ったら瀬奈は中へ引き込まれていた。
「きゃっ!」
瀬奈の身体は彼の胸の中へ抱き寄せられていた。
「ちょ、ちょっと!何なんですかー!?」
顔を真っ赤にさせて怒る瀬奈に彼はクスッと笑うと手で口を塞いだ。
「むぐっ……」
「しーっ 黙って すぐに出て行くから」
瀬奈は手を離して欲しくてこくこくと頷いた。
黒のキャップを目深にかぶって店の中へ入って来た背の高い男性に、瀬奈(セナ)は声をかけた。
キャップのせいで顔が良く見えない彼は、瀬奈に向ってしーっと言うように一本指を口元に持って行く仕草をして試着室へ入ってしまった。
しーっとされてしまったからには声をかけられず紳士服売り場の店員、瀬奈は試着室の前でうろうろしていた。
「あの~」
いっこうに出てこない彼に瀬奈は声をかけた。
今はお昼休みでこの持ち場には瀬奈しかいないし、平日の昼間の紳士服売り場は超が付く位暇な場所なのだ。
暇すぎて一度、いわゆるデパ地下に移動させて欲しいと言ったくらいだった。
望は叶えられなかったのだが。
「あの~ どうかしたのですかー?」
とか、
「もしもし~?早く出て来てくださいっ」
そう言葉にした途端、試着室のカーテンが開いて手が伸びたと思ったら瀬奈は中へ引き込まれていた。
「きゃっ!」
瀬奈の身体は彼の胸の中へ抱き寄せられていた。
「ちょ、ちょっと!何なんですかー!?」
顔を真っ赤にさせて怒る瀬奈に彼はクスッと笑うと手で口を塞いだ。
「むぐっ……」
「しーっ 黙って すぐに出て行くから」
瀬奈は手を離して欲しくてこくこくと頷いた。