君がいれば・・・①
翌日のお昼休みになると、広報室に行って葉山部長を探す。



部屋に入ると数人の知った顔がいて笑いかけてくれた。



「あの……葉山部長は?」



「ああ 部長は隣の部屋だよ」



「ありがとうございます」


ペコッと頭を下げて隣の部屋をノックする。



部長ともなると個室があるんだ。



「どうぞ?」


低音の落ち着いた声が聞こえてきた。


「失礼します」


瀬奈が入っても部長は驚かなかった。



予測はしていたような顔をしていた。



「そこにかけて」


「は、はい」


瀬奈は言われたとおり机の前のイスに座った。



「君の言いたいことは分るけど、それは却下ね」


「えっ!?」


きゃ、却下?


「もう少し長い目で見るよ 無理強いはしない」



端整な顔で言われると素直に頷きそうになる。



「葉山部長、だめです 長い目で見ないで下さいっ」


頭を下げると瀬奈は部屋を出た。


< 216 / 430 >

この作品をシェア

pagetop