君がいれば・・・①
葉山は信也の前に座っている。



瀬奈の斜め前にいる事になってしまい、始終葉山の視線を感じていたのは気のせいではなかった。



大人な葉山は信也と酒を酌み交わしており、隣のスタッフや信也と楽しそうに話している。



「瀬奈、気付いている?部長、しょっちゅう瀬奈の方を見ているよ?」



「ん……」



葉山部長が嫌いではないけど、わたしには愛しているシンがいる。



ましてや自分に好意をいだいている男性は避けたい。



ワインを飲むと、シンを思い出してしまう。



大勢人がいる前だから、亜佐美にシンの事は話せない。



亜佐美もそこの所は分ってくれていて当たり障りない話で盛り上がった。



信也がトイレの為に席を立つと、葉山が信也の席に座った。



手にはワインの瓶を持っている。



「お疲れ様 瀬奈ちゃん」



そう言って瀬奈のグラスにワインを注ぐ。



「ありがとうございます 葉山部長」



失礼のないようににこっと笑ってグラスを口に運んだ。



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