君がいれば・・・①
「シ……ン……」



シンの顔色は悪かったがいつもどおり素敵だ。



「セナ……」



シンがゆっくり歩いてきて瀬奈の目の前に立った。



次の瞬間、シンにぎゅっと抱きしめられていた。



「シンっ!やめてっ!」



抱きしめられたら決心が鈍る。



離れようとすると、さらに抱きしめる力が強くなる。



「シ、シン、寝てなきゃだめなんでしょう?」



「セナ、すまなかった……」



耳元に響くハスキーな声。



何を言って良いのか分らなかった。



何も聞かないでシンを拒絶したのは自分。



「なんか言ってくれ 怒鳴っても良い、叩いてくれても良い……黙っていられるのだけは嫌だ」



瀬奈の身体を少し離して顔を見る。



「っ……」



瀬奈は泣いていた。



瀬奈の泣き顔を見たシンの胸が痛む。



「セナ……泣かないで 胸が痛むよ……」



張り詰めていた気持ちがぷつんと切れて瀬奈は涙が溢れ出るのを止める事が出来ない。





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