君がいれば・・・①

甘い時間

次々と運ばれてくる肉に瀬奈の目が真ん丸くなる。



「こんなに食べるの?」



いくらお腹がすいているからってこんなには食べられないよ。



「セナは食べたいだけ食べて、後は俺が食べるから」



日本で一緒に食べた時も驚いたけどシンは細身なのによく食べる。



はやくも鉄板に置かれた肉がいい匂いを漂わせていた。



初めてのサムギョプサル(豚の三枚肉)は瀬奈にとって初めての経験。



日本ではお肉をはさみで切った事はないし、サンチェで巻いて食べるのもほとんど経験無い。



シンが手際よく焼けたお肉と具材を入れてサンチェで巻いて瀬奈に渡してくれる。



「はい、セナ」



「ありがと」



手でもらおうとしたら渡してくれない。



「違うよ あ~んして」



「えっ?あ~ん?」



「ほら口開けて」



「いや、恥ずかしい」



「こっちではこうやって食べるんだ」



「ぇ……」



シンはそう言ったが、そうやって食べるのはカップルや子供に食べさせる時。



何も知らない瀬奈は真に受けて口を開けた。



恥ずかしいけど、おいしっ!



「どう?セナ」



シンはまだ一口も食べていない。



瀬奈の感想を聞きたいらしい。



「美味しいよ シン 毎日でも食べられるっ」



ご機嫌な瀬奈にシンは微笑んだ。



瀬奈は韓国料理が気に入っていた。



前回の本格料理も好きだし、今も美味しそうに食べてくれる。



すぐにここになじめるのかもしれない。



シンは心の中で思った。



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