★短編★君に会えたら

「松井は？今何してんの？」

吉野は少し乗り出し気味に聞いてきて

「私は…派遣」

そこまで言うとコーラを口に含んだ。

元は私が吉野にふった話題だけど
仕事から逃げてる今仕事の話しはしたくない。

「どんな仕事？
楽しい？」

吉野はお構いなしに質問してくる。

「事務。
仕事だもん、楽しいとか…そんな。
派遣だし」

「楽しくないのか…勿体ないな。」

”勿体ない“？

はい？

意味が分からない。
「仕事ってそおゆうものでしょ」

私は少し苛立った感じで言った。

「そおゆうものって？それに派遣は駄目なのか？」

吉野は私から視線を離さず聞いてくる

「だから…、嫌な事とか、理不尽な事とか、我慢しなくちゃいけないもんでしょ…」

逆に私は吉野から視線を逸らした。