★短編★君に会えたら

「いや、本当。
俺も嘘であってほしいけどな。」

吉野はそう言うと歩道橋から見える環七の横断歩道を指した。

「あそこ、俺が跳ねられたの。
不思議と痛みも苦しみもなくてさ。
俺自身信じれなかった。」


吉野が今までになく真面目な表情で

涙が流れてきた。

本当に吉野は死んでる。

「何…してるのよ
こんなとこで…」

私は涙を拭きもせず吉野を見た。

「幽霊のくせに…
人を励ましてる場合じゃないでしょ」

私が言うと吉野は
ニカッと笑った。

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