★短編★君に会えたら
「吉野の馬鹿…」

泣く私の頭を撫でると吉野は階段に向かった。

「待って、吉野!」
私の足は地面にくっついたように動かなくて。

「吉野!」

吉野は振り返ると
ニカッと笑った

「俺、松井…沙織が昔から好きだった!俺のぶんも楽しめよ」


吉野はそお言い
投げキッスをすると階段を下りていった
吉野の姿が見えなくなると、私の足は嘘のように動いて。

「吉野…」

すぐに歩道橋の下を覗いたけど

吉野はいなかった。

勝手に世話やいて…
勝手に消えて。


本当、迷惑な奴。


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