裏切りの少年
飛び出した人は先程マンションを襲った男だった。

俺は無意識に『電撃』を使い、男に攻撃した。

無駄だと思えた。

だが、何もしないよりはマシだ。

男の周りに取り巻く粒子が防ぎ、攻撃が効かなかった。


「君が『C』の創設者か」


男は頭を掻きながら聞いてきた。


「ああ、お前は何者だ」

「『G』議長直属隠密部隊のNO.1だ」


男はやる気なさそうに話した。


「………俺の後任者か」

「君達は少しやりすぎだ。
今まで君達を放置していたのは『神山ミコト』の存在があるから野放しにした。
だが、『G』の不満も限界だ」


男は近づいてくる。

俺は逃げる手段がない。


ピー、ピー………


俺の持つ緊急信号の呼び出し音が鳴った。

俺はスイッチを押すと


『緊急事態です。
総員は直ちにポイント098―640に集結。
装備をクラスS。
繰り返し報告します。
緊急事態ーーー』


どういうことだ。

何が起きているんだ。

緊急信号は押した者には連絡されない。

押していない者だけが鳴る仕組みになる。

つまり、俺以外にも押した奴がいることになる。

男も呼び出し音を聞いていた。


「………それは」


男は聞いてきた。


「………」


俺は答えなかった。


男は気に食わなかったのか、俺の持つ緊急信号を俺から取り上げ破壊した。
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