裏切りの少年
俺は決断した。

山口は階段を降りている最中だ。

俺は右手で拳を作った。

山口が降り終わると同時に俺は奴の頭を力一杯殴った。

山口は静かに倒れた。

気絶したのだろう。

俺は山口に近づき、意識の確認、呼吸の確認、持ち物の確認を行った。

山口は呼吸をしており、意識を失っていた。

持ち物の中には通信機と銃、財布、手帳が入っていた。

俺は通信機を地面に置き、踏みつけた。

通信機を粉々に破壊した後、自分の持つ通信機で相棒に連絡した。


『もしもし………』

「監視が持つ通信機を破壊したが、盗聴器を隠し持っているかもしれない。
何か検査する物を持って来てくれ」

『了解』


しばらくして、相棒が装置を持ってきた。

相棒と会うことはほとんどない。

この8年で会ったのは3回ほどだ。

相棒は装置に電源を入れて、山口の身体を調べた。


「大丈夫だ。問題ない」


相棒は装置の電源を切りながら言った。


「そうか。
だが、この場所に長居するわけにはいかない。
お前の乗ってきた車で場所を移そう」

「ああ。そのつもりだ」


相棒はポケットから鍵を出した。


「あとは………」


俺は山口を見た。

この男をどうするべきか。


「死体処理なら、5分時間をくれ」


相棒は銃を取り出し、山口に照準を定めた。


「いや。こいつには聞きたいことがある」

「連れて行くのか」

「ああ」


俺は意識を失っている山口を見ながら答えた。

相棒は銃を仕舞うと、車に向かって行った。

鍵で車を開けた後、荷物をあさり始めた。

その後、ガムテープを持って、戻ってきた。

ガムテープで目と口を閉じ、手足を縛った。


「俺が運転する。
お前はこの男の面倒を見ろ」


相棒は俺に指示を出した後、運転席に向かった。


「ああ」


俺は山口を担ぎ、後部座席へ向かった。
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